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ロゴの小話

80年代に制作されたロゴマークで現在も使われているハイセンスなマーク

80年代から90年代にかけて、日本にはCIブームが訪れました。CIとは、コーポレートアイデンティティの略で企業の理念等を体系的に、視覚的に表現していこうと言う動きを指すものです。この考え方をもとに、この時代に制定されたロゴには、当時の流行を追いかけず、どの時代にも通用する普遍性、競合他社と差別化を図る独自性が重要視されました。

今回は80年代に制定され現在でも使われているものをいくつか紹介していきます。

合わせて読む:流行に合わせたロゴマークを考えていくことも大切

目玉マークのフジテレビ

フジテレビを傘下に収める、フジサンケイグループの統一ロゴマークは1985年に制定されました。そのため、産経新聞やニッポン放送でも同様のロゴが採用されています。人間の目をモチーフにしたフジテレビのロゴマークは、見る人に温かさ、親しみやすさを感じてもらえるようなデザインとなっています。

当時視聴率がうなぎ登りであったこともあり、このマークはすぐに定着し今や関東地方だけではなく全国的になじみぶかいマークとなりました。またこの頃は、他のテレビ局でもロゴマークの刷新が多く行われており、同じフジテレビ系列局の北海道文化放送(UHB)でも1983年に、小文字で丸みを帯びた赤いロゴマークに変更されました。

人間らしさを追求したNTT

かつて、日本の電話および通信分野においては、日本電信電話公社、通称電電公社が独占的にその業務を担当していましたが、1985年、当時の中曽根政権下において民営化が実施され、電電公社は解体、現在の日本電信電話株式会社、NTTが設立されました。

かつてのお役所仕事のイメージを払拭すべく、『顧客を発想の原点として常に未来を考えダイナミックに自己革新を続け、真に世の中に役立つヒューマンな企業』を目指すと言う考え方をもとに制作されたものがNTTの青いロゴマークで、通称ダイナミックループと呼ばれています。

一本の曲線は企業のダイナミズム、すなわち行動力の強さを表しているとされています。NTTはその後、東日本と西日本それぞれに会社が分割されましたが、分割先でも変わらずロゴが使われています。

見やすさとつながりを追求したJRのロゴマーク

1987年、日本国有鉄道が民営化され、Japanese Railways、JRが誕生しました。JRのロゴマークは、新幹線などの高速走行の際にもよく見えるように設計されており、JとRをくっつけただけのシンプルな文字となっています。

このくっついたロゴマークには、レールは全国で1つにつながっているという思いが込められています。JRは、グループ各社ごとにイメージカラーが割り当てられておりロゴもそれに準ずるカラーとなっています。代表的なイメージカラーをいくつか紹介しましょう。

JRグループ全体を表すマークでは、汎用性の考慮で黒やグレー、白の3つの無彩色となっています。JR北海道はライトグリーンですが、これは春に雪の大地から一斉に草木が姿を現し、野山に彩りを与えているイメージで、爽やかさと伸びやかさを表しています。

JR東日本のグリーンカラーは、東日本地域の豊かな自然を表しており、自然の力強さを新会社へのイメージに結びつけています。JR西日本のブルーカラーは、琵琶湖などに代表されるような豊かな湖や海を象徴し、島国日本の文化と歴史の中心地としてふさわしい色とされています。

コクとキレを重視する意思を表したアサヒビールのロゴマーク

アサヒビールの現在のロゴマークは1985年に制定されました。それまでのアサヒビールのマークは大きな朝日と波が描かれているもので、日本発のビールを海外に発信していくという思いが込められていました。しかしその想いとは裏腹に、80年代前半には国内の市場占有率が低下し、日本ですらアサヒビールの発信力に陰りが見え始めました。

この状況を打破するために1985年にCIが導入されたのです。現在もお馴染みの青いロゴマークは、角張った右肩上がりな文字が特徴的ですが、角張った文字はキレの強さ、右肩上がりのフォントには成長を表しているとされています。

横浜ゴムのシンボルマーク

ヨコハマタイヤとして知られている横浜ゴム。ネット上では、タイヤに顔のついた通称『スマイレージ』が旧ロゴとしてしばしば話題になりますが、このロゴは80年代にはほとんど使われなくなりました。80年代より広く使われるようになった大きな小文字のyのシンボルマークには名前があり、performance Yという名前がついています。

社員の情熱を結集し常に挑戦と先駆けによって新たなパフォーマンスを創造し続けるシンボルマークとされています。事業領域が多分野にわたること、そして展開がグローバルであることを、赤い5本の線で表現しています。

国際化を見据えたブリヂストンのロゴ

横浜ゴムと同じタイヤ製造会社であるブリヂストンも、国際的に通用する新しいブリヂストンのイメージを作り出すべく、1984年に企業ロゴを一新しました。2011年に、読みやすい形に少しリファインされていますが、基本的には現在とほぼ同じデザインです。

ブリヂストンのロゴマークで特徴的なのは、やはり大きなBマークといえます。Bマークは右に16度傾いており、これは挑戦する姿勢を表しているとされています。また、Bマークに入っている赤い三角型はブリヂストンレッドと呼ばれ、燃える情熱を意味しています。

そして右側の黒い部分と左側の赤い三角型の間にある空白部分は、上方向の矢印の形となっており、これは限りなき挑戦を表しています。

一目で分かるを重視したトヨタのマーク

1989年10月、現在も使われている曲線を主体としたトヨタマークが会社創立50周年の記念として発表されました。発表後すぐに、トヨタの新たな最高級車として登場した初代セルシオで採用されています。トヨタマークは3つの楕円を組み合わせて表現されたものですが、この楕円に非常に多くの意味が込められています。

まずマーク内側の2つの楕円は、トヨタのTとステアリングホイール、すなわち自動車そのものを表現しています。では外の楕円は何を表現しているのでしょうか。これは世界全体を表現しているとされて、そのなかにはトヨタ製品の利用者も含まれています。

また、日本の文化である毛筆の表現として、それぞれの楕円を形作る輪郭の線は、すべて太さが異なるという工夫もされています。

想いを視覚的に伝える試み

企業の理念を知覚的に伝えるコーポレートアイデンティティの取り組みは1970年代に、自動車会社のマツダなどが先駆けて取り組み始め、1980年代には多くの企業がそれに取り組みました。当時、日本企業が国際化していく中で、どんな人にも視覚的に伝わるようなロゴマークの制作が求められた結果、現在でも通用する、英字主体のハイセンスなロゴが生み出されていったのです。

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