ロゴマークのバランスが整わないと直感的に違和感を感じてしまいます。違和感を上手に持たせることで特色を出すという高度なアプローチもありますが、無難にロゴマークを制作するならバランスを整えるのが大切です。この記事ではロゴマークの制作をするときにバランスを整えるためのポイントを細かく解説するので参考にしてください。
ロゴマークのバランスを整えるときの基本は木を見て森を見ない状況に陥らないようにしつつ、森を見て木を見ずにもならないように意識することです。部分と全体のどちらもバランスが整っていないと美しいロゴマークに仕上がりません。
バランスは全体の調和性が必要だとよく言われています。しかし、全体を構成する部分に着目したときに、その部分だけ違和感を感じることもあるでしょう。その部分だけを拡大して見たときにバランスが悪い構成になっているのが原因のことがよくあります。
そのため、ミクロな視点も重視して木も見て森も見るやり方をするのが大切です。ロゴマーク全体と部分に分けて考えるときに、例えばロゴのエンブレムとテキストという二つにすれば良いと考えがちです。確かに「全体」がエンブレムとテキストを組み合わせたもので、エンブレムやテキストが「部分」になります。
しかし、テキストはまだ一文字ずつに分けることもできるでしょう。エンブレムもいくつかの構成要素に分けられることがあります。この小さな部分も見てバランスを整えることが重要です。全てのパターンで調和が取れていると美しくバランスが整えられたロゴマークが出来上がります。
ロゴマークを細分化する基本はパーツへの分解を徹底しておこなうことです。エンブレムとテキストの場合にはまず二つに分けるところまでは簡単で、テキストも文字ごとにパーツにできます。ただ、一気に全部分けてしまわずに、グループ化をしながら細分化するのが重要です。
例えば、テキストが会社名とブランドネームの組み合わせになっていたら、テキストはまず二つに分けましょう。個々の文字のバランスだけでなく、会社名、ブランドネームというグループでのバランスを整えることも必要だからです。
さらにブランドネームが複数のフレーズに分かれているなら、それぞれのフレーズに分解します。このように段階的にパーツへと分ける作業をもう分けられなくなるまでおこないましょう。基本的には最小単位のパーツ自体のバランスを整えることから始めます。
そして、上の階層のグループ単位でバランスを調整することを繰り返していくと、最終的には全体として調和が取れたロゴマークになるでしょう。ただ、微調整をしているうちに下の階層でバランスが崩れないように気を付けましょう。
パーツ単位でバランスを整えたら、上の階層のグループの調整をするときには位置関係と大きさだけ変えるのが良い方法です。もしそれでバランスが良くならないのであれば、また下の階層のグループに視点を移して調整をします。
このような行き来を繰り返すことが必要になるため、バランスの調整は徹底しておこなうとかなりの作業量になります。
パーツ同士を組み合わせることで調和させてグループ内でのバランスを整えるという作業は視点の持ち方によっては簡単です。パーツを空間で区切って大きさや位置関係を考えるだけで良いからです。パーツは四角や丸、三角などで囲って空間で一塊にしましょう。
そして、ロゴマークの中で意味合いが同じパーツや価値が同じパーツについては同じ面積を占めるようにします。最もわかりやすいのはテキストの文字で、会社名を構成する一つ一つの文字は価値が等価です。そのため、フォントサイズを同じにしておくのが当然でしょう。
しかし、会社名とブランドネームを入れる場合には互いに等価だとは限りません。このロゴマークではブランドネームを重視したいという場合にはブランドネームの占有する空間面積を広げます。すると全体として見たときにロゴデザインを通して言いたいことが伝わるロゴになります。
ブランドネームの文字数が多い場合には、会社名とブランドネームのフォントサイズは同じでもブランドネームが目立ちます。ブランドネームの文字数が少ない場合には文字の間隔を広げて占有面積を広げたり、フォントサイズを大きくしたり、装飾をしたりする工夫が可能です。
パーツが占める面積を広げる方法もたくさんあるので、デザインの一環として十分に検討しましょう。
パーツ同士の関係を考えるときにもう一つ重要なのが空白部分です。パーツを空間で切って考えるメリットは空白部分を把握しやすいのも理由です。等価なパーツの空間を見たときに、空白部分の面積の違いが大きいとバランスが崩れて違和感を受けます。
そのため、空白部分のバランスを整えるのが重要です。テキストの場合を考えるとわかりやすいですが、BとCでは文字の部分が占める面積はBの方が大きく、BBCCと書いたとき等間隔で並べると違和感が生じます。BとBの間隔よりもBとCの間隔を少し狭くし、さらにCとCの間隔を縮めると調和します。
このようにパーツの位置関係を変えると空間の大小が変化するため、バランスの取れたデザインにできるのです。空白部分のバランスを整える方法には他にもあります。空白部分に小さな飾りを入れたり、文字自体を装飾したりするのがよくあるアプローチです。
ロゴマークのイメージにも関わるポイントなので慎重にアプローチを決めましょう。
ロゴマークのバランスを完璧に整えたいと思ったら、パーツ同士を組み合わせてグループを作る作業を複数回おこなって、違うパターンのものを4つ程度は作って比較しましょう。何から調整を始めるかによって最終的な姿が変わります。
大きさや位置関係だけでなく、どのパーツから動かし始めるかによってもバランスが変わるでしょう。複数のデザインを比較し、より良いものを選んで次の段階へ進むようにすると完成度が高いロゴマークになります。
ロゴマークのバランスを整えるときにはパーツへの細分化をして、常に部分と全体を整える意識を持ってデザインするのが大切です。細分化したパーツを組み合わせてグループを作り、グループ同士のバランスを整えていくことで最終的に調和のとれたロゴマークができます。
試行錯誤が重要なので繰り返し作業をしてより良いものを選び出しましょう。